『信長公記』(しんちょうこうき)/『甫庵信長記』(ほあん しんちょうき)
『信長公記』(しんちょうこうき)は、織田信長公(1534~1582年)の側近として長く仕えた武士・太田 牛一(1527~1613年)が、慶長年間(1600年頃)に著した信長公の伝記。一般に、歴史書としても信頼性が高いと評価されており、筒井順慶が12か所に登場する。
詳細は後述の通りである。
一方、『甫庵信長記』(ほあん しんちょうき)と言う史料も目にされたことがあると思う。こちらは、元和8(1622)年に発行されている。儒学者で医師の小瀬甫庵が、『信長公記』を基にして、自身の仕官のために創作を取り入れて書かれた読み物である。そのため、史料としての価値は極めて低いとされているので、あくまでも近世の読み物として読む必要があろう。
『信長公記』には、「筒井順慶」あるいは「筒井」の記述が現れるのは、下記の12か所あり、下記リンク先は、国立国会図書館デジタルコレクションにある明治14年の翻刻文。
・巻之十 天正五年丁丑 (一)雑賀御陣之事 二月廾二日条、三月朔日条
・巻之十 天正五年丁丑 (八)片岡城被攻干事 九月廿九日条
・巻之十一 天正六年戊寅 (八)播磨神吉城攻之事 六月廿六日条
・巻之十一 天正六年戊寅 (十五)丹波国波多野舘取巻之事 十二月十一日条
・巻之十二 天正七年己卯 (一)摂津国御陣之事 四月十日条
・巻十四 天正九年辛巳 (九)能登越中城々破却之事 九月三日条、九月十一日条(2箇所)、十月十二日条
・巻十五 天正十年壬午 (五)木曽義政忠節之事 二月九日条
・巻十五 天正十年壬午 (十四)人数備之事 三月十九日条
ちなみに、『地図と読む 現代語訳 信長公記』(令和3(2021)年9月28日 初版発行、著者・太田牛一、訳者・中川 太古、KADOKAWA)は、訳者によると、①必要な語句を補い、②主語を明確にし、③人名については通称を実名に替え、④敬語表現を廃し、⑤文の区切り等を変えた、と言うことで、分かりやすい現代文になっている。巻末に『信長公記』の記事年表・関係系図・主要登場人名索引もあって便利である。
0コメント